SNSマーケティングを活用して、企業や商品、サービスの魅力を高めたい。そう思いながらも、その必要性や使い方などのポイントがわからず、なかなか一歩を踏み出せないという企業のWeb担当者が多いと聞きます。
そこでこの記事では、SNSマーケティングの基本や効果をはじめ、BtoB企業の活用事例をもとにその運用のコツを一挙にご紹介します。
もくじ
SNSマーケティングとは?〜主に使用する4大ツール〜
SNSマーケティングとは、FacebookやTwitterなどのSNSを利用しマーケティングをおこなう手法のことです。SNSを利用するユーザーとの交流を通し、いろいろな情報を集めたり発信したりする中で、企業のブランド価値や商品力などを高めていきます。
ツールごとに活用方法や使用するユーザーの特徴が異なるため、訴求したいターゲットによってSNSを選ぶことで、より高い成果を期待できます。主に使用されているSNSの特性と期待できる効果をご紹介します。
Facebook
約23億2,000万人が登録する(18年12月時点)、世界最大規模のSNSです。実名で利用するユーザーが多いことから信頼性が高いツールとして普及。主に、40代〜50代のユーザーを中心に支持されており、SNSマーケティングでは多く利用されています。
Twitter
国内では約4,500万人が利用する、140文字までのテキストや画像を投稿できるSNSです。その手軽さから情報の拡散力が一番の魅力。主に、10代〜20代の利用者が多いため、若者層をターゲットにしたSNSマーケティングで多く活用されています(※2020年現在、40代の利用者も増加しています)。
Instagram
約2,900万人が利用する(18年11月時点)、写真や動画を投稿できるツールです。手軽に画像加工ができる機能に加え、投稿に付けられた「タグ」から直接商品を購入できるショッピング機能も導入されるなど、ますます便利に。ビジュアルで訴求したい企業のマーケティングでは欠かせないSNSです。
LINE
国内で約7,900万人ものアクティブユーザーが利用する(19年1月時点)ツールです。メールに取って代わり顧客対応での利用や、メッセージを一斉送信できる「LINE公式アカウントの運用」など、近い距離感でマーケティングをおこないたい時に適したSNSです。
SNSマーケティングを始める前に
運用に関する具体的な方法をご紹介する前に、より深くSNSマーケティングを理解するために必要な認識についてご説明いたします。正しい認識を持つことで、その必要性や期待できる効果をより高めることにもつながります。
SNSマーケティングに関する誤った認識
SNSマーケティングをおこなうキーワードとして<拡散力>というものがあります。それに基づき、次のような認識を持たれている方が多いのではないでしょうか?
- とにかく“バズらせて”注目を集めなければいけない
- 炎上するリスクがあるため危険だ
これらの認識は、<SNSとは口コミを急速に拡散させるツール>という思い込みがあるからです。それもSNSの一面ではありますが、それだけではありません。この考えにとらわれると、運用の視点が狭くなり、期待できる効果を見込めなくなってしまいます。
“バズる”だけではなく、多様な情報経路がある
情報とは、急速に多くの人々に広めることに価値がある訳ではありません。じわじわとゆっくり広がる情報もあれば、ある特定の属性の人にしか伝わらないニッチな情報もあります。重要なのは、届けたい情報の正しい流通方法を考えることです。認知度を向上させたいからといって、やみくもに面白さを追求し注目を集めても、設定したターゲットに届いているのかどうか。その見極めが大切です。
長期的なアカウント運用の重要性と価値
信頼性の高い情報の発信やユーザーからの質問に真摯に答えていくその履歴が、信頼度や好意度、親密度となっていきます。その強いコミュニティづくりが、バズマーケティングでの話題作りや、逆に炎上に巻き込まれた時の助けになるなど、得難い価値として利用できます。
「アーンドメディア」の観点で捉える
家族、友人、知人など、自分と近い人からの推薦は購買決定に最も影響を及ぼすと言われています。SNSマーケティングでは、情報の発信だけでなく、一般ユーザーとのコミュニケーションを通したファンコミュニティの形成も大切です。SNS上で商品やサービスの魅力を自発的に発信してくれるファンを増やすことで収益向上に結びつきやすくなります。
運用のための手順
では、運用のためには、どのような手順で進めるのか、その方法をご紹介しましょう。
①運用の目的とコンセプトを決める
運用の目的とは、自社の利益にどのように貢献するのかを具体的に決めることです。例えば、ECサイトの運営会社の場合、「SNSからサイトへの新規流入者を増加させたい」というのが運営の目的になります。この目的を達成するための方針を決めることがコンセプトです。上記の例の場合、新しいユーザーに広く訴求して興味・関心を喚起させる必要があるため、<拡散されやすい投稿をおこなう>というのが、ひとつのコンセプトになるでしょう。このように、運用の目的とコンセプトを決定します。
②ターゲットのイメージを共有する
誰に向けて情報を発信するのかを明確にしておくことで、施策がブレず、より効果的なコンテンツの作成にも役立ちます。可能であれば、より詳細なペルソナも設定しましょう。
ペルソナ設定の方法はこちらの記事で紹介しています。
【関連記事】BtoB企業のペルソナ設定は必要?設定方法と注意点を徹底解説
③目的に合ったSNSを選ぶ
ターゲットに情報が届きやすいSNSを選択します。どれか一つのSNSを選ぶのではなく、これらの特徴を知り、それに合ったコンテンツの発信や使い方を組み合わせて活用するのが大切です。
拡散力を期待するなら「Twitter」
リツイートや「いいね」、ハッシュタグ機能など、投稿を見つけられやすく拡散力が抜群。そのため、一気に認知度を高めたいという場合には、おすすめのツールです。
視覚的な魅力を訴求するなら「Instagram」
写真や動画など、視覚で訴求できるInstagram。そのため、ファッションやコスメ、雑貨の魅力を広げるのが効果的です。特に、注目すべきなのは「ショッピング機能」。投稿から直接、購入ページに誘導できる手軽さから、購入機会の増加が見込めるようになっています。
堅実なプロモーションをおこなうなら「Facebook」
総合的にバランスがとれた機能が搭載されているため、ビジネス用途で使用するユーザーが大半。堅実なプロモーションをおこなえるため、炎上しにくいことやBtoB企業でも成果をえられやすいことから、FacebookからSNSプロモーションをスタートさせる企業も多く見られます。
ユーザーとの距離を近くするなら「LINE」
他のSNSとは違い、メッセージの開封率の高さやユーザー参加型のキャンペーン機能を活用できるのが特徴。ユーザーとの距離を近くし、魅力を訴求したい場合にはおすすめです。
④ベンチマークを見つける
運用するアカウントと同じ<運用目的・コンセプト>で先に走っている企業をベンチマークします。投稿内容に困った時の参考やにしたり、そのアカウントのフォロワーを自分からフォローしていくことで、フォローバックを狙ったりできます。
⑤KPIの設定する
KPIを端的に説明すると、目的達成度合いの基準を決めるということです。<ファンを増やす>という目的を立てた場合なら、<フォロワーの獲得数>なのか<コメント投稿数>なのか、何を達成すれば“ファンが増えた”と判断するのかを決めておきましょうという意味です。より具体的に、期間比較が可能で、改善案を出しやすいか否かを見定めて指標を決めることが大切です。
⑥日々の運用テクニック
SNSの運用には、主に「投稿パート」「フォロワー管理パート」「分析パート」に分かれます。この3つを運用する手順をご紹介します。
投稿パート
投稿内容は、お得な情報を発信する<お役立ち情報>。みんなが笑えるような情報を発信する<オモシロ情報>。日常的な言葉をつぶやき、お堅い企業イメージのギャップを狙う<イメージギャップ情報>の3つに大きく分けられます。
また、性質の面では、キャンペーンなどタイムリー性が求められる<リアルタイム投稿>。習慣付けを狙うために、予約投稿機能などを使用して決まった時間に決まった内容を投稿する<ストック投稿>があります。
フォロワー管理パート
SNSマーケティングでは、フォロワーとの交流が重要です。例えば、良質なコメントにこちら側から反応を返すと喜んでもらえることが多いので、しっかりとフォロワーからのコメントをチェックしましょう。そして、自社に関心を持ってくれたり、設定したターゲットに合いそうなユーザーを積極的にフォローしたりしていきます。フォローバックがあると、バズらせるよりもコンバージョン率は10倍ほど変わるとも言われています。
分析パート
投稿内容から得られた結果と、設定したKPIと照らし合わせながら達成度合いを確認していきます。各SNSに搭載された管理画面でも分析は可能ですが、専門のツールを活用すれば、より詳細な分析をおこなうことが可能です。
SNSマーケティングの導入で期待できる効果
では、SNSマーケティングでは、どういった効果が期待できるのかをご説明します。
顧客のロイヤリティが向上する
ユーザーとのコミュニケーションを通して、厚い信頼関係が生まれ、高いエンゲージメントを構築できます。それによって、ユーザーから新たな顧客の紹介につながったり、長期的なファンを獲得できるなど、価値の高いブランドづくりを期待できます。
情報を早く伝搬できる
1対1ではなく、1対nの流れで情報が拡散していくのがSNSの特徴です。そのため、投稿した内容がユーザーにシェアしてもらうことで、情報が多方面に拡散していきます。企業の認知度を高められるのはもちろん、商品、サービス、キャンペーンといった情報も瞬く間に広げられる効果もあります。
潜在顧客・見込み客との接点が生まれやすい
ユーザーがどの投稿に反応したのか。または、どんな属性かを分析することで、これまで顕在化するのが難しかった潜在顧客や見込み客との接点を持ちやすくなります。こまめに、自社のアカウントと似た領域で運用されているアカウントをチェックしたり、SNS全体の流れを追いかけたりすることで、それらのユーザーにアプローチが可能です。
ユーザーの本音がわかる
これまでのアンケート調査やモニターテストとは違った、リアルなユーザーの声に触れることができます。良くも悪くも、すべての声をチェックすることで、企業が改善すべき貴重な参考材料として活用できます。
指名検索で売上げ向上を期待できる
SNSマーケティングで企業や商品の認知度が高まることで、自社名やサービス名などで検索される「指名検索」の割合が格段にアップします。指名検索するユーザーは、他のユーザーに比べて、購入動機が高いため、必然的に売上げ向上に結びつきやすい傾向にあります。
効果を得るために通常投稿以外にやっておくべきこと
より効率良く、効果的にアプローチする方法を考えることも重要です。
一般ユーザーが自社サービスや商品について投稿していたら返信をしたり、拡散性を利用したキャンペーンを実施してファン強化や広いリーチ獲得を狙いましょう。
また、同じテーマを複数の媒体に投稿すると効率良く運用することもできます。その際は、媒体の性質に合わせた画像やテキストの調整はおこないましょう。
BtoB企業の成功事例
SNSはBtoCのマーケティングツールということで、BtoB企業には無関係だと思われがちですが、そうではありません。最近では、さまざまなBtoB企業がSNSマーケティングを上手に活用し、新たな顧客獲得や企業イメージの向上などに役立てています。その事例をご紹介しましょう。
メイクリープス株式会社 公式Facebook
クラウド型請求ソフトを提供する企業です。サービス内容を写真でわかりやすく説明する投稿と、気になったニュースや日常の写真などがバランス良く配置され、いいね!数は約18,500人を誇ります。
<参照:メイクリープス株式会社 公式Facebook>
森田アルミ工業株式会社 公式Twitter
大阪の阪南市で室内物干しなどを取り扱う建材メーカー。企業情報だけではなく、毎日の天気や日々のつぶやきを砕けた口調でツイートしファンとの交流機会をうまく作っています。
<参照:森田アルミ工業株式会社 公式Twitter>
ソルブ株式会社 公式Instagram
カテーテルを中心に医療機器・用具の販売を手がける企業。商品カタログ撮影の裏側や、社内風景などの投稿が企業の親近感を生み、ファンから多くの反響を得ることに成功しています。
<参照:ソルブ株式会社 公式Instagram>
運用を失敗させない!注意点
これまでに紹介したSNSマーケティングの運用を失敗させないためのポイントをご紹介いたします。これらのリスクを熟知した上で、施策を立て、運用をおこないましょう。
運営の負担を軽減させる
SNSの運用は試行錯誤を繰り返しながら運用をする長期戦です。そのため、運用に費用な各作業を分担したり分析などはテクニカルな部分は専門家を配置したりするのが有効です。無理なく続けられる体制を整えた上で、運営に乗り出しましょう。
炎上のリスクを十分に理解する
ファン化したユーザーとばかり交流をおこなっていると炎上する可能性は大いにあります。フォロワーではなくその外側にいる人たちの方が圧倒的に多く情報が届き、時には不快な思いをさせてしまいかねないという意識を持つことが必要でしょう。
古い投稿は読まれにくい
検索エンジンの自然検索では、検索上位になると一定継続してユーザーの流入が見込めます。しかし、SNSの場合、そうした過去のコンテンツから流入が発生することは、ほとんどありません。そのため、定期的に新しいコンテンツを発信し続けなければいけません。
魅力的なコンテンツに磨くこと
企業情報の投稿だけではユーザーからの反響を得られません。ユーザーが発信する投稿内容をつぶさに観察し、他社のアカウントで拡散されている内容を参考にコンテンツを磨きましょう。投稿によって、いかにしてユーザーとの交流を活性化させるかという意識が重要です。
SNSマーケティングまとめと「お役立ちツール&調査データ」
SNSマーケティングならではの運用方法や効果があることをご理解いただけましたでしょうか?設定目標と分析、改善を繰り返すことで、BtoB企業においても十分に効果が得られます。ぜひ、この記事を参考にSNSマーケティングに取り組んでみましょう。
では、最後にこれまでに紹介したSNSマーケティングをより快適かつ正確におこなうためのお役立ちツールや調査データをご紹介いたします。ぜひ、運用の際にご活用ください。
すぐに活用できる便利ツールを紹介!
comnico Marketing Suite
累計2,500アカウント以上の導入実績がある、アカウント管理ツールです。Facebook、Twitter、Instagramの投稿管理と効果測定が可能。シンプルな仕様と手厚いサポートも魅力です。
<参照:comnico Marketing Suite>
クチコミ@係長
SNSやWebメディア、ブログなどの各メディアに、クチコミがどのように波及されていったのか、話題の波を確認できるツールです。どんな人達が投稿したのかその属性がわかる機能も人気。
<参照:クチコミ@係長>
SINIS
Instagramに特化し、自社だけではなく他社のフォロワー数や投稿された反響の推移を把握できます。過去データまで遡り分析できるので、キャンペーンの施策を打ち出す時に役立てられます。
<参照:SINIS>
SNSマーケティングの重要性がわかる調査データ
国際的な第三者機関である「IPSOS」が、《インバウンド観光、中小規模ビジネス、女性起業家、若手起業家》の分野で、Instagramがどのような影響があるのかを調査したデータです。
<参照:Instagramが「日本経済に与える影響」を調査 その結果は?>
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